鋼材ドライバーという仕事
2026/09/11
こんにちは。名古屋で鋼材輸送を手がける、有限会社松洋の代表・佐藤です。
今回は、少し長くなりますが、大事な話をします。テーマは「鋼材ドライバーという仕事は、実際どうなのか」。
私自身、20歳から鋼材ドライバーとして現場に立ち、30歳で運送会社の経営を始めて、今年で59歳になりました。ドライバーとしても経営者としても、この仕事を40年近く見てきました。
だからこそ、若い人がこの仕事に就く利点、大変なところ、包み隠さず正直にお伝えできると思っています。いい話だけを並べるつもりはありません。どうぞ、最後までご一読いただければ幸いです。
こんな人に向いている仕事です
まず、鋼材ドライバーはどんな人に向いているか。
学歴は関係ありません。若いうちからしっかり稼ぎたい人、トラックが好きな人、運転が好きな人。この仕事は、そういう人にこそ向いています。
松洋の輸送エリア範囲は”地場”がメインなので、毎日、家に帰れます。長距離で何日も家を空ける、ということはありません。ここは生活を大事にしたい人にとって、大きなポイントだと思います。
未経験でも大丈夫。入社してからの流れ
「経験がないと無理なのでは」と思うかもしれません。心配いりません。松洋では、未経験の方が一人前になるまでの道のりを、きちんと用意しています。たとえば21歳で大型免許を取って入社した場合、こんな流れです。
①.座学(車両知識・安全講習)
運送業務やトラックの知識を、座学で学びます。これは今、義務化されていて、就職に必須の講習です。安全と車両の知識は、事故なく働くための土台になります。
②.ベテランドライバーへの横乗り
次に、ベテランのトラックに横乗りして、仕事の流れを体で覚えます。松洋では、事故がなく仕事の上手なドライバーに横乗りをお願いしています。①②はあわせて2週間(10日ほど)で行います。
③.実際に運転しながら、教わる
今度は自分でトラックを運転し、ベテランに横乗りしてもらいながら教わります。荷物の積み方、固定(固縛・ラッシング)まで、一つずつ丁寧に伝えます。危険な箇所や作業も共有し、より安全な作業を目指します。
④.必要な資格を取る
玉掛けや5トン未満クレーンなど、業務に必要な資格の講習を受けます。ここまでを、1〜2か月かけて実施します。
覚えることが多くて大変そうに見えますよね。でも、大丈夫です。まずは「見てイメージする」ところから。独り立ちしたあとも、わからないことは配車担当やドライバー仲間が丁寧に教えてくれます。一人で抱え込むことはありません。
働き方は、正直に言うと「長め」です
ここは正直に書きます。週5日の出勤で、1日の労働時間は11〜12時間(休憩1時間は別)。事務職や工場の8時間労働と比べると、たしかに長いです。
ただ、その残業分はしっかり給与になります。運転中はラジオや音楽を聴きながら、リラックスして安全運転。慣れてしまえば大丈夫です(個人差はあります)。この仕事で8時間労働にこだわると、正直、無理があります。そこは最初にお伝えしておきます。
出発時間には、ばらつきがあります。前日に積んだ荷を運ぶ日は、届け先の開始時間や指定時間に合わせて出発するためです。だいたい、早朝3〜6時の出発で、終業は14〜17時ごろ。ちなみに、「3時出発で17時終わり」のような極端な組み合わせにはなりません。
いちばん気になる、お金の話
見習いから一人前へ ── 年収450万円台からスタート では、本題のお金の話です。数字で正直にお見せします。
●見習い期間から1〜2年
ベテランには及びませんが、それでも月35〜36万円、賞与15万円×2回で、年収450〜460万円(総額)がモデルケースです。
さらに、これに手当が乗ります。片道120km以上で朝4時以前の出発には出張手当(1日2,500〜4,000円、非課税)がつき、業務によりますが月10,000〜25,000円ほど。土曜の業務がたまにあり、多くは午前中で終わって別途手当(1回20,000〜30,000円)。お金が必要な年代に、しっかり稼げる仕組みです(もちろん、労働時間を超えない範囲での配車になります)。
●3年目以降
会社が「安全な運転・作業が確実にできる」と認めれば、そこから給与はベテランに近づいていきます。3年目以降の目安は、月38〜41万円、賞与20〜25万円×2回で、年収500〜540万円。手当や土曜出勤があれば、もう少し上がります。
ここまでは、大型12トン車・14トン車での、今現在の数字です。20代前半でこの業界に入れば、まずこの水準の収入が得られます。
もう一段、上へ ── トレーラーという選択肢
トレーラーの免許は自動車学校で取れますが、運ぶ荷の重量は倍。運転技術も、荷の積み降ろしの技術も、積み降ろし先でのバック操作も、格段に高いものが求められます。
松洋のトレーラードライバーは、安全意識と積み込み技術の高い、見込みのある大型ドライバーに、会社負担で免許を取りに行ってもらい、乗務してもらっています。
実は、多くのドライバーが「バック操作に自信がない」と、なかなかトレーラーに進めません。そこで松洋には、独自のやり方があります。
免許を取ったあと、倉庫の出入り口でバック操作の練習をします。土曜など、誰もいない場所で、自動車学校では教えてくれない運転のコツを、熟練ドライバーがマンツーマンで指導する。短期間で上手くなってもらいます。
30代までに(20代でももちろん構いません)レベルアップできれば、所得は上がります。結婚して子どもがいる人、これから結婚を考えている人が、家庭を支えるためにしっかり稼げる。今のトレーラードライバーの所得は、業務によりますが、年収680〜720万円です。
なぜ「30代までにトレーラー」なのか
20代の若いうちは、どうしても運転が未熟で、感情を抑えきれず荒い運転になりがちです。荒い運転とスピードは、事故にどんどん近づいてしまう。
30代になると、安全意識が高くなります。そこから継続すれば、60歳を過ぎても、体が仕事と運転を覚えている。体力と健康さえ維持できれば、長く続けられる仕事です。
実際、松洋には68歳・69歳まで働いたドライバーがいました。今年70歳になるドライバーも、1名現役です。給与は、若いドライバーと変わりません。一般の会社員が定年を迎え、アルバイトしか選べなくなる年齢になっても、変わらず稼ぎ続けられる。これは、この仕事の大きな魅力だと思います。
どうでしょう。安全な作業と運転さえできれば、とても良い仕事だと思いませんか。松洋が求めているのは、末永く、この鋼材輸送の業界で働いてくれる人です。
正直に話す、この仕事の大変なところ
いい話ばかりでは、フェアではありません。デメリットも正直にお伝えします。
鋼材輸送は、ドライバー自身が安全に積み込み、運転して届けます。荷の積み込み → 固定(固縛)→ シート掛け → 運転 → 納品 → 荷降ろし。ドライバーが関わる作業が、とにかく多い。これがこの仕事の特徴です。
季節によってはきつい日もあり、大変な仕事であることは確かです。複雑な納品先も多く、覚えることもたくさんあります。楽な仕事だとは、口が裂けても言いません。
ただ、裏を返せば、これは強みでもあります。昨今のAIによる自動積み込みや自動運転では、対応できない。この先も、人の手で行われ続ける仕事です。だからこそ、会社・ドライバーとしてやる気、スキルが最大限に求められます。
最後に ── 皆さんの生活を守るために
この仕事はやる気が求められる分、私たちも応えます。今後も荷主と交渉を重ね、運賃アップ・賃金アップを図っていきます。大型もトレーラーも、所得を上げて、働く皆さんの生活を守っていく。これが経営者としての私の責任だと思っています。
長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この仕事に少しでも興味を持ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。
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